ひのきのぼうから再度




『運命を操る程度の能力に関する考察』

レミリア・スカーレットは大嘘吐きである。


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「・・・・つまりだ」

美鈴は確認する。

「あの、お前が作った『ばかでけえの』が発端でこうなったって言いてえのか?」

「まぁ、そのとおりだね」

「魔学、ね。すげえモンを見せてもらって、私としちゃあ、そりゃあもうあれだよ、涙が溢れんばかりの感動と関心を覚えるのも吝かじゃあねえんだが、看破できねえよなあ、どうしても」

「悪かったよう・・・・完全に壊して棄てた筈だったんだけど、どういうわけか仮死状態から復活しちゃったみたいなんだ」

「その『どういうわけか』については、多分もう私は原因が解ってる。お前だってわかってんだろ?」

「わかってるさ。もちろん憶測の域はでないけれど。後は本人にそれが真実なのか確認するだけ」

「・・・・とりあえずお前にはコーママンションの建て直しと・・・・そうだな、まァ、お前、私と鬼、どっちが好きだ?」

「え!?そ、そりゃあ・・・・もちろん美鈴だよ」

「そうかそうか。じゃあ俺がどついてやる」

「ひゅい!?そうなるの!?」

「5秒数えてやるから心の準備をしろよ」

「ひぃぃ!」

「5・・・・4・・・・0ッ!」

カウントダウン始めたくせに最後まで数えないのかよ!

と、つっこむ事すらかなわず、彼女は幻想郷の端っこまでゲンコツでぶっ飛ばされたという。


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俺は永遠亭から逃げ出した。

師匠である八意永琳は、俺が逃げ出す直前はまだ辛うじて正気だったと言えるだろうが、

主人の蓬莱山輝夜と部下のてゐは完全に狂ってしまっていた。

狂い終わってしまっていた。

師匠は言った。

今は逃げろ。

然る後に戻り、私達を正気に戻すべく行動せよ。

今は逃げろ。

今は逃げろ。

今は逃げろ。

もう駄目かも知れない。

もう駄目かもしれない。

もう駄目かもしれない。

ごめんなさい。

ごめんなさい。

ごめんなさい。

鈴仙・優曇華院・イナバは狂った永遠亭から逃げ出した。

「私に永遠亭を救えだあ?」

「ああ、私と一緒に永遠亭を元に戻す手伝いをしてくれ」

「そんなもん・・・・いいよ」

藤原妹紅はあっさり承諾した。

藤原妹紅は基本的にイイヒト属性だった。

俺は愚かだった。

藤原妹紅は基本的にイイヒト属性だった。

「武器を調達してくるので、お前も準備をしていてくれ」と。

妹紅を一人にしたのがまずかった。

戻ってきたら妹紅は居なかった。

妹紅は一人で永遠亭に向かってしまった。


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「・・・・妹紅ッ!」

・・・・こんな状況で私を普通に呼ぶ奴って言うと、誰だ?

鉄の塊が飛んできて。

中からガトリングをぶっ放して輝夜を蜂の巣にして。

私の前に来てドアを開けて。

凄くカッコヨクあらわれたのは、鈴仙だった。



「・・・・これ、トラックっていうやつ?」
「ずっと竹林にいたんじゃ知らなくても無理は無いが・・・・」

「なによう。別に私は無くたって困らないの!」

「そんな事よりな」

「・・・・」

「俺はお前に単身永遠亭に乗り込んで全てを助けてくれなんて頼んだか?」

「・・・・ごめんなさい」

「お前がそういう性格だというのを知っていながら、お前を一人にした俺も俺だが」

「・・・・ごめんなさい」

「謝っている間に吹き飛んだ両腕は治ったようだな」

「うん」

「不死の化け物を心配するなんて可笑しいか?」

「まあ」

鈴仙はよく私を気にかけて、世話を焼く。

何故だろう。

まあ結構気が合うし。

ある程度仲のいい者同士なんてのは、案外こんなものなのかも知れない。

人と知り合ったことが余り無いからわからない。

そんな事を考えてる間に永遠亭が見えてくる。



ひゅんひゅん、


と。



音がした。





「・・・・もう着くぞ。永遠て・・・・い・・・・ぅ」


「鈴仙?」







状況を把握する前に視界がぐるぐると回って、トラックは道から外れて永遠亭の壁に激突して爆発した。


鈴仙は何本もの投げ込まれた銛に貫かれていた。

沢山。

足を。

お腹を。

肩を。

腕を。

額を。

トラックが激突する寸前、鈴仙は消えてしまった。

消炭のように。

足が。

お腹が。

肩が。

腕が。

額が。





私は大火傷の上に全身骨折した体で、なんとか顔を人陰のある方に向ける。


悪辣な狂った笑みを浮かべたてゐが、こちらを見ていた。






「リザレクション」










永遠亭が原型を留めなくなった頃、輝夜が追いついた。